発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265079
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70歳代男性。検診にて便潜血陽性が指摘され、精査により横行結腸癌が判明して著者らの施設へ紹介となった。入院時、注腸および大腸内視鏡所見では横行結腸肝彎曲部付近に2cm陰影欠損を伴うI型腫瘍が認められ、生検で腺癌が検出された。また、CTでは肝彎曲部に腫瘍と考えられる不整な壁肥厚像と近傍の腸間膜リンパ節腫大を認め、横行結腸癌と術前診断して腹腔鏡補助下横行結腸切除術が施行された。手術は中結腸動脈根部周囲までのリンパ節郭清を施行後、横行結腸肝彎曲部を授動して臍部ポートの創を延長、開腹して、標本摘出と吻合操作が行われた。その結果、摘出標本の病理組織学的所見では扁平上皮癌への分化傾向を有する低分化な腺癌細胞が大小の胞巣を形成し漿膜脂肪織まで浸潤増生しており、221・222・223番リンパ節に転移が確認された。以上より、本症例はAdeno-squamous carcinoma(pSS、int、infβ、ly3、v0、n3、stage III B、根治度B)と診断、患者は合併症なく、術後10日目に退院となった。尚、大腸腺癌に準じて術後補助療法(XELOX療法)の3コース終了時にグレード2の末梢神経障害を認め、目下はcapecitabineの内服を4コースを施行し、経過観察中である。
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