発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004170426
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41歳女.腹痛を主訴とした.子宮筋腫の手術が予定されていた時,急性腹症で緊急入院した.腹部単純X線,CTで小腸の拡張とニポー形成を認め,腹水貯留を伴っていた.子宮は右方に圧排され,筋腫を認めた.入院後絶食とし,経過観察していたが,腹痛が増強し,腹膜炎症状も出現したため,絞扼性イレウスの診断で開腹術を施行した.小腸の一部が壊死状となっていたため腹腔内を検索すると,約40cmにわたって左子宮広間膜に長径約3cm大の楕円形の裂孔を認め,回腸末端から約20cm口側の回腸が,その裂孔に嵌頓していた.さらに,裂孔に入り込んだ回腸が捻転し,壊死に陥っていた.絞扼を解除し,壊死した小腸を約40cm切除後,端々吻合した.左子宮広間膜裂孔は縫合閉鎖した.子宮筋腫には単純子宮全摘術を施行した.経過良好で第22病日に退院し,その後腹部症状は認めていない.内ヘルニアは比較的稀であり,その中でも子宮広間膜異常裂孔ヘルニアは極めて稀である
©Nankodo Co., Ltd., 2004