発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304644
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21歳男。健康診断で胸部腫瘤影を指摘され、精査・加療目的で紹介受診した。胸部造影CTでは前縦隔に10×4×4cm大の腫瘤を認め、内部は多房嚢胞性で壁は厚く、一部に造影効果のある充実部分を認め、心膜浸潤も疑われた。嚢胞性胸腺腫、嚢胞性奇形腫、胸腺嚢胞合併胸腺腫、嚢胞状セミノーマなどを疑い、胸骨正中切開で胸腺左葉と腫瘍を摘出し、癒着が強い左胸腔側縦隔胸膜を合併切除した。病理組織所見で嚢胞壁は厚い線維性結合織を主体とする組織より成り立ち、嚢胞壁に上皮の裏打ちを欠き、Type ABの胸腺腫と診断された。腫瘍成分は周囲への明らかな浸潤は認めず正岡分類I期であった。術後2年経過して再発徴候は認めていない。
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