発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004289050
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31歳男.主訴は全身倦怠感.骨髄検査にて純赤芽球癆(PRCA)と診断された.胸部CT所見で前縦隔左側に約3.5×3×3cm大の腫瘤を認め,辺縁に一部石灰化を伴い,造影剤で造影された.胸部MRI所見では前縦隔に4.0×3.5cm大の境界明瞭な胸腺腫を認めた.以上よりPRCA合併胸腺腫と診断し,輸血による貧血の改善後,胸骨正中切開アプローチにより拡大胸腺・胸腺腫切除術を施行した.胸腺腫は被膜外浸潤を認めなかった.腫瘍は4.2×4.2×3.0cm,重量90gで,胸腺に浸潤は認めず,割面は黄白色調で弾性軟であった.病理組織所見では上皮細胞優位型の胸腺腫で,上皮細胞は紡錘型でリンパ球の混在を認め,mixed type(正岡分類I型)と診断した.術後の骨髄検査で赤芽球は認められず,術前と比較し貧血の進行の程度も緩やかになり,術後26日に退院した.外来にて免疫抑制薬を投与しながら経過観察し,貧血症状の改善を認め,術後3年6ヵ月に完全寛解した
©Nankodo Co., Ltd., 2004