発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398774
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71歳女性。ふらつきを主訴とした。骨髄所見で赤芽球系細胞が0.2%と著明な減少を示し、造影CTで前縦隔左側寄りに約10cm大の分葉状で内部均一な腫瘤を認め、一部心膜への浸潤が疑われた。赤芽球癆を伴う胸腺腫と診断し、輸血による貧血改善後に拡大胸腺胸腺腫摘出+左縦隔胸膜合併切除術を施行した。病理検査では腫瘍は被膜内に留まり、胸膜への浸潤は認めなかった。小リンパ球の豊富なtype Bの領域と、その内部や周囲を帯状に増生するリンパ球が乏しく、紡錘形の細胞の増生により成るtype Aの領域が存在した。以上より、胸腺腫でWHO分類type AB、正岡分類I期と診断した。術後7日に軽快退院となったが、術後3ヵ月が経過しても貧血が改善せず、ciclosporinの内服を開始した。その後、貧血と網状赤血球数は改善し、内服開始後22日より輸血が不要になった。
©Nankodo Co., Ltd., 2017