発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051672
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36歳男.背部痛を主訴とした.肺結核後の経過観察中に前縦隔の腫瘤を指摘され,CTガイド下に行った経皮針生検の術中迅速組織診断は胸腺腫であった.入院時,胸部のX線検査,CT検査では左S6胸膜直下に気管支透亮像を伴う径30mmの浸潤影を,前縦隔に径50×40mmの腫瘤影を認めたため,左肺S6区域切除術を行い,次に縦隔腫瘍摘出術,胸腺摘出術と浸潤が疑われた胸腺周囲,傍心膜の脂肪織についてできる限りの切除を行った.病理組織学的に肺野病変は悪性所見(-),抗酸菌および真菌染色(-)であり,器質化肺炎と診断されたが,縦隔腫瘍では悪性細胞の増殖と一部の周囲脂肪織への浸潤を認め,免疫組織化学染色にてケラチン,EMA,AFPとHCGは陰性,placental alkaline phosphatase(PLAP)陽性より縦隔セミノーマと診断した.術後は化学療法(cisplatin+etoposide)を追加し,術後34ヵ月間無再発で経過観察中である.胸腺腫との鑑別には免疫組織化学染色が有用であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004