発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114902
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33歳男。検診の胸部X線で異常陰影を指摘された。胸部X線で縦隔から右胸腔に突出する辺縁平滑な異常陰影がみられ、CTでは前縦隔に心嚢に接する境界明瞭な腫瘤を認め、一部に造影効果を認めた。MRIで腫瘤の大部分はT1強調像で筋肉より高信号、T2強調像で高信号を示し、一部に索状の構造と造影効果を示す領域を認めた。以上より、腫瘤は薄い壁からなる嚢胞性病変で、内部に隔壁があり、複数の箇所で内腔に隆起する充実性病変や嚢胞壁肥厚を伴う胸腺腫が疑われた。腫瘤摘出術を施行し、病理組織学的に充実成分はWHO分類type B3胸腺腫であり、出血巣、壊死巣や嚢胞変性を随所に認めた。被膜外および被膜内浸潤はなかった。胸腺腫組織をみない嚢胞壁内部は、上皮細胞による被覆を欠いていた。これらの所見からcystic thymomaと診断した。術後経過は良好で、術後3年の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009