臨床経験
味覚障害を合併した浸潤性胸腺腫
片山 達也
1
,
平井 伸司
1広島県立広島病院 心臓血管・呼吸器外科
キーワード:
Methylprednisolone
,
胸腔鏡法
,
胸腺腫
,
胸腺摘出術
,
胸膜腫瘍
,
腫瘍播種
,
上大静脈
,
生検
,
味覚障害
,
血管腫瘍
,
ネオアジュバント療法
,
パルス療法(薬物療法)
,
胸骨切開術
,
胸部CT
Keyword:
Biopsy
,
Neoplasm Seeding
,
Methylprednisolone
,
Pleural Neoplasms
,
Taste Disorders
,
Thoracoscopy
,
Thymectomy
,
Thymoma
,
Vena Cava, Superior
,
Vascular Neoplasms
,
Pulse Therapy, Drug
,
Neoadjuvant Therapy
,
Sternotomy
pp.111-113
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017326385
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症例1(58歳女性)。職場にて縦隔陰影異常を指摘されたが、その後、味覚障害、手足の運動障害、労作時呼吸困難、複視が出現して近医を受診、CTにて上大静脈に浸潤し、数ヶ所の右胸膜播種病変を伴う前縦隔腫瘍を認め、紹介となった。CTガイド下腫瘍生検により胸腺腫(WHO分類type B2)と診断された。また、抗AChR抗体陽性から全身型重症筋無力症(MG)と診断された。2回のステロイドパルスによる腫瘍縮小後、胸骨正中切開下に拡大胸腺摘除+胸腺腫瘍切除+胸腔内播種切除を行なった。術後はMGクリーゼを合併したが、血漿吸着療法とステロイドパルス療法で人工呼吸器から離脱し、味覚障害は改善、現在はステロイドを漸減中である。症例2(50歳女性)。甘味障害を自覚するとともに、職場健診にて縦隔陰影異常を指摘され、受診となった。CTにて前縦隔に最大径47mmの前縦隔腫瘍と数ヶ所の左胸膜播種病変を認めた。胸腺腫の疑いで、胸骨正中切開下に拡大胸腺摘除+胸腺腫瘍切除+左横隔神経合併切除を行い、右側臥位に体位変換後、胸腔鏡下左胸膜播種巣の切除を行なった。術後経過は良好で、胸腺腫の再発はみられていないが、味覚障害の改善は得られていない。
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