発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304641
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25歳男。検診時の胸部X線像で縦隔に異常影を指摘され紹介受診した。胸部CTでは前縦隔の右側に最大径10cmの境界明瞭な多房性嚢胞腫瘤を認め、胸部MRIのT2強調像で内部が著しい高信号を呈しT1強調像Gd-DTPA造影で嚢胞壁の造影効果を認めた。腫瘍マーカーは正常値であり嚢胞性未熟奇形腫の可能性を考え、診断・加療目的に胸骨正中切開で腫瘍を含めた胸腺全摘術と壁側胸膜合併切除術を施行した。病理組織学的に嚢胞壁の中に認めた扁平隆起に一致して大型円型、内部に透明な胞体を伴う腫瘍細胞の集簇を認め、免疫染色ではD2-40で強陽性であり、セミノーマと診断した。術後8日で退院し、病理検査結果判明後に睾丸検査およびPET検査を施行したが、縦隔病変以外の異常集積は認めなかった。術後補助療法は施行せず8年経過したが再発は認めない。
©Nankodo Co., Ltd., 2017