発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304643
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70歳男。呼吸困難感を主訴とした。胸部X線像で心胸郭比75%と著明な心拡大を認め、CTで大量の心嚢液貯留と圧排による左下葉無気肺を認めた。8ヵ月前より利尿薬、抗炎症薬などの内服治療および心嚢穿刺を施行したが心嚢液貯留を反復していたため、全身麻酔・胸腔鏡下に手術を施行した。まずエラスター針で心嚢液800mlを吸引してから心嚢を挙上牽引し、超音波凝固切開装置で心膜を直径3cm大開窓し、さらに吸引して心嚢液は計1500mlとなった。術翌日より呼吸困難感は消失し、胸部X線像で心拡大の消失および左下葉の含気の回復を認め、第7病日に胸腔ドレーンを抜去し、第10病日に退院した。術後2年6ヵ月間で心嚢液貯留、心タンポナーデをきたすことなく経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2017