発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009150019
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23歳男。肩痛を突然自覚し、翌日には左前胸部へ痛みが広がり37.5℃の発熱を生じた。さらに胸痛が増強し発熱も39℃となった。左胸部に吸気時中心の自発痛を認めた。著明な炎症反応と低酸素血症を認めた。測定した血液腫瘍マーカーは正常範囲内であったが、IL-2Rの上昇を認めた。胸部CT所見では、前縦隔より左胸腔に膨隆する9cm大の多房性嚢胞腫瘍があり左肺を圧排していた。嚢胞壁は厚く肥厚し強い造影効果を示した。Gd-DTPA造影により、嚢胞壁や隔壁の強い増強効果を認めた。強い炎症を伴う嚢胞性前縦隔腫瘍であることから奇形腫の胸腔内穿破を第一に疑い、抗生物質を投与しながら入院5日目に準緊急に手術を行った。病理組織所見により、強い炎症を伴う多房性胸腺嚢胞と病理診断した。経過は問題なく退院し、術後1年目の胸部CTでは再発や異常所見を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009