発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339097
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症例は84歳男性で、肺結核、左胸郭形成術の既往があった。発熱で近医にて上気道炎が疑われ、内服加療を受けたが改善せず紹介受診した。Erb領域にLevine分類III/VI度の拡張期雑音を聴取し、血液検査で炎症反応高値を認め、血液培養でMRSA陽性を認めた。経胸壁心エコーで高度の大動脈弁閉鎖不全と左右シャントを伴う卵円孔開存を認め、肺動脈弁に可動性のある疣贅が付着し、軽度の肺動脈逆流を認めた。MRSAによる単独肺動脈弁位感染性心内膜炎と診断し、抗生物質投与で解熱し、炎症反応の正常化、血液培養の陰性化を得て大動脈弁置換術、卵円孔閉鎖術、肺動脈弁疣贅切除術を行った。疣贅培養は陰性であった。血行動態、呼吸状態は安定しており、全身状態の改善で術後18日に退院し、1年経過で感染の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016