発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148986
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
74歳男。化膿性両肩関節炎を発症し、1ヵ月後には敗血症性ショック、播種性血管内凝固症候群となって近医に入院し、血液培養にて溶連菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された。また化膿性椎体椎間板炎を併発した。3ヵ月経過頃に心不全により心エコー検査を行い、大動脈弁と肺動脈弁に疣贅を認め、高度の大動脈弁逆流、高度の僧帽弁逆流、高度の三尖弁逆流、中等度の肺動脈弁逆流を伴う感染性心内膜炎の診断を受けた。感染コントロール後、手術目的で当院転院となり、大動脈弁置換術、肺動脈弁置換術、僧帽弁輪形成術、三尖弁形成術を施行した。第1病日に人工呼吸器離脱、第5病日にICU退室となり、抗生物質は感受性のある注射用sulbactam sodium・ampicillin sodiumを点滴した。第21病日にはCRPの陰転化を認め、以後同薬の内服とした。経過観察時のエコーにて人工弁の機能は良好であった。感染性心内膜炎に対する4弁治療の良好な結果報告は稀で、本邦では過去1件認めるのみであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008