発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339098
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症例は54歳女性で、3ヵ月前より呼吸困難があり、近医の造影CTにて肺塞栓症と診断され、当院へ搬送された。心電図で不完全右脚ブロック、III/aVF/V1/V2で陰性T波を認め、経胸壁心エコーで最大径64×32mmの三尖弁に嵌頓する腫瘤影を認めた。造影CTで右房内を占拠する腫瘤影、両肺動脈に塞栓様陰影欠損を認め、右房内腫瘤による急性肺塞栓症と診断し、右房および両側肺動脈内腫瘤除去術を行った。右房内に粘液腫様腫瘤が充満し、右房自由壁に茎部を有しており、右房壁ごと切除し、右房壁は直接閉鎖した。左右肺動脈をそれぞれ切開して腫瘍を摘出した。病理所見では、腫瘍表面はゼラチン質で脆弱であり、顕微鏡像は間葉系細胞を含む粘液性間質に富んだ良性腫瘍で粘液腫と診断した。術後は特に大きな合併症なく経過し、術後16日目に退院した。術後2年経過で粘液腫の再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016