発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017135903
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50歳男。発熱、悪寒を主訴とした。健診で大動脈弁閉鎖不全症(AR)を指摘されており、歯科治療後に主訴が出現し、1ヵ月後に活動期感染性心内膜炎(IE)と診断された。翌日にはIEによる急性ARでうっ血性心不全をきたし、glutaraldehyde処理自己心膜パッチによる弁輪部再建を伴う大動脈弁置換術を行ったが、術後6ヵ月の心エコーで弁輪部短軸6時方向の嚢状変化と同部の高度AR、大動脈弁短軸10~11時方向からの重度弁周囲逆流、無冠尖~左冠尖に及ぶ広範なecho free spaceと弁座動揺を認めた。大動脈弁位人工弁感染症を考えて緊急手術を行ったところ、無冠尖の弁輪を形成した人工心膜パッチが大動脈壁よりはずれており、大動脈壁外から糸をかけて縫着した。自己心膜パッチと大動脈弁の縫合部位に感染を示唆する所見はなく、パッチ離開の原因として自己組織の脆弱性が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017