臨床経験
原発巣が同定されずリンパ節転移の切除を先行し診断できた右肺上葉の微小肺癌
石田 順造
1
,
鈴木 晴子
,
内田 達男
1愛知県がんセンター愛知病院 呼吸器外科
キーワード:
リンパ行性転移
,
腺癌
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
免疫組織化学
,
リンパ節郭清
,
腫瘍-原発不明
,
PAX8転写因子
,
Thyroid Nuclear Factor 1
,
胸部CT
Keyword:
PAX8 Transcription Factor
,
Adenocarcinoma
,
Immunohistochemistry
,
Lung Neoplasms
,
Lymph Node Excision
,
Lymphatic Metastasis
,
Neoplasms, Unknown Primary
,
Pneumonectomy
pp.990-993
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016009592
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63歳男。人間ドックでCEA異常高値を指摘され、当院を受診した。胸部X線で右中肺野に線状影を認めた。胸部CTでは右上中葉間裂に帯状の陰影を認めたほか、右肺門および右下部気管傍リンパ節(LN#4R)に著明な腫大を認めた。超音波気管支鏡ガイド下針生検によりLN#4Rを検査したところ、核腫大した異型細胞を少数認め、上皮性の悪性腫瘍を疑わせる所見であった。原発性肺癌の可能性が高いと考えられたが、右上中葉間裂の帯状陰影のほかは異常なく、原発巣不明であった。治療法の選択が難しい症例であったが、病変が比較的限局しており切除可能と考えられたことと、患者が手術を強く希望したことから、手術の方針とした。右開胸下に、原発性肺癌に準じた右上縦隔郭清を行い、術中迅速診断に提出し、上皮性悪性腫瘍のリンパ節転移と診断された。当初は右上中葉間裂の炎症性瘢痕を部分切除して迅速病理診断を行う予定であったが、境界が不明瞭であったことと、右肺門リンパ節の十分な切除のためには右肺上葉切除が必要と考えられたことから葉切除の方針とし、deep wedge法による気管支楔状切除を伴った右肺上葉切除と、上縦隔および右肺門リンパ節郭清術を行い、切除標本の病理組織所見から右肺上葉の微小癌と診断した。
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