発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228162
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71歳男性。血痰を主訴とした。胸部CT所見にて右S2に6.5×5cmの内部均一な腫瘤性病変を認めた。悪性腫瘍を疑い手術を施行した。奇静脈、#12Uリンパ節と腫瘤が一塊となっていたため奇静脈を合併切除し、上葉切除を行った。また#11Sリンパ節を郭清した。病理所見より大細胞癌の診断で、IB期(T2N0M0)であった。術後2ヵ月で右鼠径部の腫瘤が徐々に増大するのを認め、それから5ヵ月後の腹部CTで6×5cmの腫瘤を確認した。吸引細胞診はclass Vで、全身検索でその他異常はなく、切除術を施行した。病理所見よりリンパ節転移の診断であった。さらに、右上葉切除後1年9ヵ月で、胸部CTにて左上葉のS1+2bに径1.8cmの新たな病巣を確認し、その後も増大を認めた。全身検索でその他異常はなく、肺部分切除術を施行、病理所見より大細胞癌の診断であった。その後5年が経過するが全身状態は良好で、再発は認められない。原発巣のコントロール、原発巣切除時の病期がI期、転移巣の完全切除、他部位に転移巣がない、以上の条件を満たし、再発時に積極的に切除を試みることにより長期生存が得られることがありうる。
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