発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006269262
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78歳男.18歳時に結核性胸膜の既往があった.8年前,高癌胎児性抗原(CEA)血症精査時に縦隔リンパ節腫大を指摘された.CEAは緩やかに上昇していたが,この1年で急速に上昇し,縦隔リンパ節も増大した.胸部CT,MRIでは,上縦隔気管に周囲組織と接している腫瘤と,右上葉S1に淡い浸潤陰影を認めた.全身検索,喀痰細胞診等に異常所見はなかった.縦隔リンパ節腫大を伴う原発不明肺癌疑いで肺部分切除,及び上縦隔リンパ節郭清を行った.肺病変は14×13×10mm大,縦隔リンパ節は55×43×36mm大であった.肺病変に悪性所見はなく,散在性に辺縁不整な線維性結節がみられ,珪肺結節と診断した.リンパ節には不規則に増生した索状,及び胞巣状の腫瘍の形成がみられ,低分化腺癌と診断した.免疫組織化学染色では,CEAが強陽性,surfactant apoprotein・甲状腺転写因子が陰性であった.術後は良好に経過し,CEAは術後6ヵ月で正常化した
©Nankodo Co., Ltd., 2006