発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292651
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68歳男。6年半前に腰椎破裂骨折で入院中に歩行障害、失見当識があり、CT・MRIで右頭頂部から後頭部にかけて広範な浮腫を伴う6cmの腫瘤が確認された。腫瘤摘出術を施行し、病理結果は転移性と考えられる壊死の目立つ低分化腺癌か未分化腺癌であった。その後、脳転移が再発し、γ-ナイフ治療後も増大したため再度脳腫瘍摘出術を施行した。以後は定期的に経過観察していたが、胸部CTで右上縦隔に約1.5cmのリンパ節腫大を認め、胸腔鏡併用右前方小開胸で右上部気管傍リンパ節領域のリンパ節を摘出した。病理所見で摘出リンパ節4個中3個に転移を認め、壊死の目立つ未分化な細胞の胞巣状増生と間質のリンパ球・形質細胞の著しい浸潤を認める低分化腺癌で、リンパ上皮様癌と類似した組織像を呈しており、過去2回切除された脳転移病巣と同様の所見であった。鼻咽頭や胸腺の精査で異常所見はなく、PET-CTでも原発巣を疑う異常集積はなかった。その後も定期検査を行っているが、原発および転移病巣は確認されていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011