発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014065773
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39歳女。買い物中に突然背部痛が出現して倒れ、近医に緊急搬送された。血圧70mmHg台とショック状態で、心電図所見から急性心筋梗塞が疑われた。緊急冠動脈造影検査と胸部CTを施行され、右冠動脈の入口部での完全閉塞と大動脈基部の拡張および形状の不整が認められたため、当院へ救急搬送された。胸部CTで明らかな大動脈解離の所見はなかったが、急性大動脈解離を第一に疑い、緊急手術を行った。手術所見は、大動脈は基部のみ著明に拡張しており、一部壁にはヤツガシラ様に嚢状に突出した部分もあった。同部位の大動脈壁は著明に肥厚しており、周囲心臓組織と中等度癒着がみられた。右冠動脈入口部を大動脈内腔から観察したところ、スリット状に狭小化してみえた。大動脈基部置換術(Bentall手術)とCABG(自己上行大動脈-右冠動脈#2)を行い、大動脈切除標本の病理所見から大動脈炎症候群と診断した。術後3日間の人工呼吸管理を要したが、その後は経過良好であった。
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