発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008300309
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78歳男。大動脈炎症候群の診断でステロイド漸減中、左前胸部痛が出現した。冠状動脈造影検査で3枝病変を認め、胸部・腹部CTでは分節的大動脈の壁肥厚像を認めた。大動脈炎症候群による上行大動脈硬化病変が予想されたため、両側内胸動脈(ITA)と右胃大網動脈を用いた心拍動下冠状動脈バイパス術(CABG)を予定した。ITAは壁肥厚し狭小化していたがpapaverine注入により良好な持続性血流が得られた。胃大網動脈は壁肥厚・狭小化し拍動が微弱であったため、使用を断念して大伏在静脈を採取した。さらに心脱転にて血圧の著明な低下、心室頻拍を認めたため、On-pump beating冠状動脈バイパス術に変更した。術後造影にて全グラフトの開存を確認し、術後33日目に独歩退院した。2年2ヵ月経過して冠状動脈マルチスライスCTにて良好な開存を確認した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008