発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013098759
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76歳男。気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患で当院内科に通院中、増大傾向を示す縦隔腫瘍を指摘され、当科に紹介された。血液生化学検査で高Ca血症を認めた。胸部CTで前縦隔に約40mm大の腫瘍を認め、増大傾向を示していることから胸腺腫を強く疑い、腫瘍を含む拡大胸腺摘出術を行った。摘出標本の肉眼的所見は胸腺左葉に50×50×25mmの境界明瞭な腫瘍を認め、病理組織所見から胸腺原発非定型カルチノイドと診断した。高Ca血症を呈しているため内分泌学的精査を行ったところ、副甲状腺機能亢進症、高プロラクチン血症、高ガストリン血症が認められた。多発性内分泌腺腫症の合併を疑って検査したところ、99Tc-MIBIシンチグラフィーで副甲状腺腫が検出されたが、膵腫瘍や下垂体腫瘍は画像検査では認められなかった。術後1年6ヵ月の現在、再発は認めていない。
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