発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008146459
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71歳男性。2年程前より易疲労感、口渇を自覚するようになり、その後の経過で高血圧、高血糖、低蛋白血症を指摘された。精査の結果、胸部CTで前縦隔腫瘍を認め、血液検査にて副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルチゾール高値であった。Dexamethasone抑制試験の1mg、8mg負荷、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験のいずれとも、血中ACTHは無反応であった。また選択的静脈サンプリング法を用いACTH濃度を測定したところ、左内胸静脈では海綿静脈洞を含むその他部位の2倍以上の値を示し、前縦隔腫瘍がACTH過剰分泌のoriginと考えられ、異所性ACTH産生縦隔腫瘍と診断した。リンパ節転移や遠隔転移を認めず手術適応と判断し、胸腺全摘除術を施行、術前はmetyraponeを投与してコルチゾール抑制を図り、術中はhydrocortisoneでステロイド補充を行い、術後はhydrocortisoneを静注から内服に切り替えてステロイド補充を継続した。病理組織所見よりACTH産生定型的胸腺カルチノイドの診断で、術後血清ACTH、コルチゾールは速やかに低下し、臨床症状も改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008