発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116834
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71歳男。患者は52歳時に結核、69歳時から喘息の既往があった。今回、胸部違和感と発熱で近医を受診、前縦隔腫瘍を指摘され、著者らの施設へ受診となった。入院時、胸部X線では左第2弓の突出を伴う腫瘤影を認め、CTでは前縦隔に表面平滑で内部が不均一に造影される最大径約6cm大の腫瘤影が認められた。また、鎖骨上窩・気管前および気管傍リンパ節が散在性に腫大していた。一方、FDG-PETでは前縦隔腫瘤に一致した部位に集積があり、SUV 1時間値は4.5と上昇、鎖骨上窩・上縦隔リンパ節へも軽度のFDGの集積を認めた。更にエコーガイド下生検では異形の少ない小円形細胞由来の腫瘍で、免疫染色からの診断を含め、本症例は縦隔・鎖骨上窩リンパ節転移を伴う胸腺カルチノイドと判断された。治療として胸腺・腫瘍摘出術、ならびに縦隔・頸部・鎖骨上窩リンパ節郭清を行ったところ、病理組織所見では神経内分泌細胞由来の腫瘍と考えられた。術後は化学療法、放射線療法の同意が得られなかったが、現在、術後1年経過で無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007