発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012213776
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症例は57歳男性で、主訴は特になかった。前医でペースメーカーのジェネレータ交換時にX線像で縦隔の拡大が認められ、紹介受診となった。FDG-PETで縦隔腫瘍と縦隔・右肺門リンパ節に集積亢進を認め、手術を施行した。仰臥位、正中切開で開胸したところ、8cm大の縦隔腫瘍が左胸腔方向へ突出していた。腫瘍は左横隔神経を巻き込み、一部で心膜に癒着していた。左横隔神経・心膜を合併切除し、縦隔腫瘍・胸腺摘除術を行った。腫大していた気管前リンパ節を摘出し、心膜欠損部は心膜シートで再建した。病理組織学的に前縦隔腫瘍は高分化型神経内分泌癌(非定型的カルチノイド)、リンパ節はサルコイドーシスであった。術後、放射線療法を行ったが、縦隔・肺門リンパ節が術前より更に腫大した。しかし、放射線療法後5ヵ月にリンパ節が縮小した為、手術侵襲や放射線照射により反応性に腫大していたと考えられた。術後3年の現在、カルチノイドの再発を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011