発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356921
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69歳男。失神発作を主訴とした。心房細動を指摘され、心エコーで左室の求心性肥大と大動脈弁狭窄症(AS)、三尖弁逆流(TR)III度を認め、ASによる失神として当科紹介となった。BNP高値で、心臓超音波にて大動脈弁は交連部の石灰化によって可動性が低下していた。AS+TR、心房細動と診断し、大動脈弁置換術を施行した。術後経過は良好で、術後17日に退院し、退院時は正常洞調律であった。術後7ヵ月の心エコーで人工弁の最大圧較差の上昇を認め、術後11ヵ月には失神発作が生じるようになった。心臓超音波所見で人工弁に異常はなく、軽度の左室中隔の非対称性肥大、弁輪下部に小構造物を認めた。ドプラエコーでは左室流出路で乱流を認めた。モザイク弁劣化による狭窄と左室流出路狭窄と診断し、機械弁による再弁置換術を施行した。摘出したモザイク弁にはバンヌスの形成とステントのゆがみを認めた。再手術後、失神発作は認めず、良好に経過した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012