発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356920
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66歳女。呼吸苦、血圧低下を主訴とし、心電図上の異常を認めた。末期腎不全のため、11年間の透析歴があった。心エコーにて大動脈弁狭窄症と僧帽弁後尖弁輪の僧帽弁輪高度石灰化(MAC)を伴う中等度の僧帽弁逆流(MR)を認め、左室駆出率は69.8%であった。心不全コントロール後、弁膜症のため待期手術として退院したが、呼吸苦、血圧低下のため当院へ搬送された。心エコーにてMR、三尖弁逆流は増悪していた。CTで上行大動脈に著明な石灰化を認め、porcelain aortaを呈し、僧帽弁および僧帽弁輪にMACを認めた。以上よりporcelain aorta及びMACを伴う末期腎不全連合弁膜症と診断した。大動脈高度石灰化への対策として、送血は右腋動脈と右大腿動脈とし、低体温循環停止下に上行大動脈置換術を施行し、人工血管を遮断して復温しながら弁膜症への手術を行う方針とした。P3で左室壁から弁尖および弁輪が一塊となって内膜下プラークを形成していたが、完全除去はせず、術式を工夫し僧帽弁置換術・大動脈弁置換術・三尖弁輪縫縮術を行った。術後44日目に軽快退院し、術後6ヵ月現在心不全の再発はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012