発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356925
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65歳女。発熱、呼吸困難を主訴とした。55歳時、Valsalva洞動脈瘤破裂に対し、パッチ形成術、大動脈弁形成術を受けた。2011年、残存していた大動脈弁閉鎖不全症が増悪し、生体弁による大動脈弁置換術(AVR)が施行された。周術期は感染徴候もなく、術後2週間で退院した。3日後に発熱し、加療を受けたが解熱せず、炎症反応高値が進行した。経胸壁心エコーでは一貫して可動性疣腫や弁逆流は認めなかったが、生体弁狭窄の所見が進行した。血液培養でメチシリン耐性表皮ブドウ球菌が検出され、敗血症と診断した。熱源検索を行ったが有意所見はなく、人工弁置換術後感染性心内膜炎を疑った。心不全が進行したため、発熱から22日目に手術を施行した。生体弁の弁尖は著明に肥厚し、原形をとどめていなかった。人工弁を摘出して再AVRを行い、術後は良好な経過した。病理組織所見で、弁尖表面に菌が付着し、同組織の膠原線維に変性と亀裂を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012