発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318853
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症例は72歳男性で、1年前他院で上行結腸癌手術を受け、術後に吻合部リークによる腹腔内多発膿瘍の既往があった。38℃台の発熱と呼吸困難で前医にて画像上心タンポナーデと診断され当院に入院した。心エコーで全周性の心嚢水貯留と拡張期の右室虚脱を認め、心嚢ドレナージを行い、茶黄色の膿性心嚢水650mlを排出した。培養でStreptococcusが検出され、心膜炎による心タンポナーデと診断された。抗生物質で改善傾向となるも排液は持続し、CTで心嚢水残留と心膜肥厚を認め、心臓直下の横隔膜と肝臓の間に径40mmの嚢胞を認め、上行結腸癌術後の腹腔内膿瘍の遺残再燃を疑った。右心カテーテルでディップ・アンド・プラトーを認め、化膿性心膜炎に続く滲出性収縮性心膜炎と診断された。増悪する右心不全に心膜切除術を行い、心嚢内と左胸腔内にドレーンを留置し閉創した。心嚢内は持続洗浄を継続し、41日目に排液培養陰性となりドレーンを抜去した。術後54日目に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012