発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318852
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症例は61歳女性で、26年前にStanford A型急性大動脈解離で上行大動脈にリング付き人工血管(RIG)内挿術を行い、軽度の大動脈弁逆流(AR)は放置された。2年前から慢性糸球体腎炎で維持透析中であった。今回、労作時息切れが増悪して受診した。CTではRIG周囲は45×50mmに拡大し、大動脈基部は径42mmであった。RIG遠位から総腸骨動脈分岐まで慢性偽腔開存型解離を認め、上行弓部は最大短径55mmであった。血管造影でSellers分類III度のARと中枢側リング付着部からRIG周囲に造影剤の流入が認められた。術中所見で中枢側リングは背側で逸脱し、末梢側リングはごく近位から解離が認められた。RIGを除去して大動脈基部置換術後に全弓部置換術を行った。病理所見では中枢側リング近傍の大動脈壁は中膜に硝子様線維化層を認め、弾性繊維は消失していた。術後経過は良好で、第29病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012