発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009114896
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65歳女。胸痛と呼吸苦が出現し、左胸水貯留を認め、化膿性心膜炎の診断で抗生剤投与されたが、症状は増悪した。心電図で洞性頻脈、胸部誘導でT波陰転を認め、X線では左胸水の貯留と心拡大を認めた。経胸壁心エコーでは心嚢液が多量に貯留し右室を圧排していた。心タンポナーデをきたした心膜炎と診断し、左前胸部より心嚢穿刺を施行した。悪臭を伴う膿性の心嚢液を吸引したため、Seldinger法で7.5Frのpigtailカテーテルを心嚢内に留置し持続ドレナージを開始した。左胸水も多量に貯留していたため、左胸腔ドレーンを追加した。化膿性心膜炎と診断し、心嚢液の培養でFusobacterium nucleatumとPeptostreptococcus microsの嫌気性菌が検出されため、cefazolin sodiumを投与した。症状は改善し、ドレーンを抜去したが、その後再び両側胸水が増加した。胸部CTで肥厚した心膜と限局した心嚢液の貯留を認め、再度心嚢液に対し心嚢穿刺とドレナージを行った。同時に右心カテーテルを施行し、右室圧はdip and plateauの波形を、右房圧は平均14mmHgと高値を示し、ドレナージ後もこれらに変化はなかった。胸部CTの再検では心嚢液のドレナージが十分されながらも心膜肥厚の残存を認め、右心不全症状が解除されないことから心膜切除術を施行した。術後23日に軽快退院し、術後1年半経過の現在、心膜炎の再発や右心不全症状の出現はない。
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