発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314025
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61歳男。胸部異常影を主訴とした。血液検査でIgG、抗核抗体、KL-6の高値を認めた。CTで左肺S9の胸膜直下に18×29mmの辺縁不整な結節を認め、肺門・気管前・大動脈周囲のリンパ節の腫大がみられた。左肺S9原発の肺癌を疑い、胸腔鏡下肺部分切除術を施行した。病理組織学検査で結節状に変化した部分では正常の肺胞構造が消失し、異型性のないリンパ球と形質細胞の浸潤を認め、胚中心の腫大を伴うリンパ濾胞が多数存在していた。間質には膠原線維の増生を認めたが、明らかな腫瘍性増殖はみられなかった。リンパ節にはリンパ濾胞の過形成を認めた。免疫組織染色では浸潤する形質細胞はIgG4陽性であった。以上より、IgG4関連炎症性偽腫瘍と診断した。術後経過は良好で、23病日に退院となった。術後1年5ヵ月の現在、再発を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012