発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314024
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62歳男。左前胸壁膨隆を主訴とした。胸部大動脈瘤に対する人工血管置換術後2ヵ月に咳嗽時に左前胸壁膨隆が出現した。CTで左第4、5肋骨の背側骨折を認め、左半側臥位で息んだ状態でのCT撮影では、第4肋骨前方をヘルニア門として左肺の一部が脱出していた。さらに、第4肋間の肋間筋が断裂・萎縮して第5肋骨上縁に付着し、この箇所は大動脈瘤の開胸創の前方に相当していた。大動脈瘤術後の肋間肺ヘルニアと診断し、手術を施行した。術中、第5肋骨に比べ第4肋骨が胸腔内側に陥凹し、この肋骨の段差の部分に約3cm長の肋間筋の断裂を認めた。この箇所がヘルニア門と確認し、さらに大胸筋裏側の筋膜と骨性胸郭との間にヘルニア嚢が存在していることが分かった。ヘルニア門の閉鎖は第4肋骨と第5肋骨の間を縫い寄せ、周囲の肋間筋や筋膜で補強し、縫縮・閉鎖した。術後4日に退院となり、術後2年の現在は再発を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012