発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012264921
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症例1は82歳女性で、他疾患経過観察中に胸部異常陰影を指摘された。CTで右S1に径2.5cmのスリガラス状陰影を、右S2には径2.0cmの不整形結節陰影が認められた。胸腔鏡下にS1の肺部分切除を施行し、術中迅速病理診断は気管支肺胞上皮癌(BAC)で、右肺上葉切除術を施行した。切除標本でS1の腫瘍はBAC、pT1aN0M0、病理病期IA期、S2の結節はLangerhans巨細胞を含む結核性肉芽腫であった。腫瘍内の膿の塗抹検査でGaffky 1号を認め、術後抗結核薬による内服治療を施行した。症例2は69歳男性で、呼吸困難を自覚し、胸部CTで右胸水と右下葉背側胸膜直下に造影効果のある3.6×3.3×2.3cmの結節を、両側上葉には不整形結節陰影が認められた。胸腔鏡下肺部分切除術を施行し、病理診断は乳頭状腺癌であった。腫瘍組織の抗酸菌塗抹検査でGaffky 1号が検出され、結節の経気管支肺生検で結核性肉芽腫と診断した。抗結核治療を開始したが、肺癌の脳転移で術後8ヵ月に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012