発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314026
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58歳男。発熱と創部発赤を主訴とした。大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術後12日に発熱と胸部創部の発赤が出現した。CTで縦隔炎と診断し、全身状態の悪化をきたしたため、再開胸し、ドレナージと大網充填術を施行した。術中、皮下組織の創傷治癒は極めて不良で、大きな死腔となっていた。胸骨は完全に離開し、縦隔内に膿瘍形成を認めた。縦隔内を洗浄し、感染組織のデブリドマンを行った。創を下方へ延長して開腹し、右胃大網動脈を血流供給源とする大網を有茎で採取した。大網を縦隔内に導き、心臓の全面を被覆した。胸骨閉鎖時に大網の一部を胸骨上端から通して、胸骨前面を被覆した上で皮下の死腔に充填した。創の培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された。術後3日に抜管した。術後CTで大網が縦隔内のみならず胸骨前面の皮下死腔も十分に充填している所見を認めた。2年を経過した現在、感染の再燃を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012