発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204287
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66歳女。狭心症治療後の定期検査で胸部異常陰影を認め当科紹介となった。CTで右肺尖部に辺縁不整な結節影と、その背側に棍棒状病変を認め、PETでは右肺上葉の2病変に一致してFDGの集積を認めた。気管支鏡検査で右肺S1病変は腺癌の診断が得られ、右肺上葉原発の腺癌cT1aN0M0、臨床病期IA期と診断して手術を施行した。背側の病変を含めた完全切除となるように、胸腔鏡補助下右上葉切除術およびリンパ節郭清(ND2a-2)を行った。病理所見は腺癌(径2.4×1.8cm)に関しては乳頭型が主体で、辺縁には粘液非産生型の置換性増殖像がみられた。リンパ節転移や胸膜浸潤はなく、切除断端も陰性であった。一方、背側の病変は拡張した気管支内にポリープ状に充満する腫瘍(非浸潤部の径2.5×1.2cm)で、胞巣辺縁に核の柵状配列がみられ間質硝子化を伴っていることから、類基底細胞型扁平上皮癌と診断した。術翌日より抗血栓療法を開始し、経過良好で速やかに退院となった。
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