発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184028
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症例は78歳男性で、腹痛を主訴とした。CTで上腸間膜動脈(SMA)レベル近傍および大動脈終末部で、共に背側に突出する嚢状瘤が認められた。瘤の基部がSMAにも近接していたため、Crawford分類IV型の胸腹部大動脈瘤(TAAA)置換に準じた補助手段で手術を予定した。また、同CTで瘤に圧排され、かつ左腎静脈と合流後、大動脈瘤前面を斜め頭側へ横断する左側の下大静脈(IVC)も認めたため、静脈系の損傷予防に関し検討を行った。傍腎動脈腹部大動脈瘤であり、腎動脈再建、腹腔動脈、SMAの選択的灌流を要する症例と診断した。手術はTAAA時の手術に準じ左側後腹膜アプローチを選択した。術中の操作に関しては、癒着の高度な部位においては無理に大動脈流-IVC間の剥離は行わず、瘤壁と一塊にしてIVCを授動した。末梢吻合に関してはY字グラフトを用い、右総腸骨動脈が閉鎖していたため遠位へのトンネル作成を併用した。術後経過は良好で、術後61日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011