発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067964
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94歳女性。患者は径35mmの腹部大動脈瘤を指摘され、高齢のため経過観察されていた。今回、右季肋部痛で内科を受診し、CTで腹部大動脈瘤破裂と診断され、外科へ緊急紹介となった。所見では臍上部に50mm程度の拍動性腫瘤が触知され、超音波では腎動脈分岐部より下部に内部に血栓を伴った50mm程度の紡錘状の大動脈瘤が認められ、周囲にeffusionが貯留していた。また、CTでは大動脈瘤周囲への造影剤漏出がみられた。以上より、本症例は腹部大動脈瘤破裂の診断で緊急手術が行なわれたところ、腹腔内に血性腹水が貯留し、腎動脈より下部に周囲を血腫で覆われた拍動性の大動脈瘤が確認された。腹部大動脈と両側の総腸骨動脈を遮断し、瘤の切開で多量の血栓と瘤壁の左下方に破裂部位がみられ、Y字型人工血管で瘤を置換して手術を終了した。その結果、術後の経過は良好で、3日目より経口摂取が開始され、若干のリハビリテーションを行い、術後20日目に患者は歩行退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008