発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184029
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症例は57歳男性で、検診の胸部陰影異常を主訴とした。造影CTで左下葉に5×4×3cm大の、内部が嚢胞様構造で境界明瞭な腫瘤影が認められた。また下行大動脈から径12mmの異常血管の同腫瘤への流入と少量の左側胸水が認められた。胸部造影MDCTの三次元再構成画像では、腫瘤を取り囲むように尾側は下行大動脈からの異常血管が、頭側はV10aとV10cが存在するのが確認された。左下葉への肺動脈はやや低形成であったが、走行に異常はなかった。以上より、左下葉の腫瘤は正常肺との気管支の交通はなく、体循環系から血流支配を受けた肺組織であり、また画像上、正常臓側胸膜内に存在していると予想され、肺葉内肺分画症と考えられた。また異常動脈は分画肺組織のみを灌流しており、Pryce III型と考えられた。電気メスや超音波凝固切開装置を用いて分画肺のみの切除を行い、病理診断は肺分画症であった。術後経過は良好で、術後9日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011