発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338817
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64歳男性。2ヵ月前から発熱と全身倦怠感を自覚するも放置していた。だが、次第に右肩関節痛を伴うようになり来院、胸部異常影と貧血傾向が指摘され、精査目的で入院となった。胸部単純X線ならびにCT像では左上葉・肺門部に66×57mm大の腫瘤影が認められ、腫瘍辺縁部では不整な造影増強効果を有し、内部は壊死を疑う所見であった。また、骨シンチグラムでは6ヵ月前にはみられなかった右肩関節の骨頭内側や烏口突起付近に集積亢進が確認され、気管支鏡による擦過細胞診でclass V(腺癌)、臨床症状や画像所見から骨転移と判断された。以上より、肺癌に対する化学療法の実施は困難と考え、症状緩和目的に左上葉切除術+縦隔リンパ節郭清術を行ったところ、術中所見では肺尖部に線維性癒着を認め、腫瘍は小児手拳大、肺門部では肺動脈周囲のリンパ節腫大が著明であった。肺動脈遮断下に切除した結果、切除標本の病理組織学的所見は広範な壊死を伴った充実胞巣構造の低分化腺癌、pT2bN0M0、病理病期IIAと診断され、術後6週目より補助化学療法を開始した。尚、右肩関節の疼痛は術後に著明に改善したことから肺性肥大性骨関節症であったと推察された。
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