発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338816
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74歳男性。肺炎と診断され、抗生剤の投与が行われるも発熱が継続、心エコーにて三尖弁位感染性心内膜炎と診断され、抗生剤治療の強化がなされたが、発熱は持続し、加えて疣贅の増大傾向が認められた。そこで、抗生剤治療開始14日後に手術目的で著者らの施設へ紹介来院となった。初診時、NYHA分類はclass II、炎症反応がみられ、心電図所見では洞調律で不完全右脚ブロックであった。また、経食道心エコーでは軽度の三尖弁閉鎖不全を示し、三尖弁の前尖に弁尖と一体化し拍動ごとに右室と右房を行き来するような可動性を有する19×21mm大の無茎性の疣贅が認められた。以後、手術を行ったところ、術中所見では前尖の疣贅の他に、中隔尖の弁輪部周囲にも多数の疣贅が発見され、三尖弁組織の一部を含んだ疣贅を除去し、断端を結節縫合した。一方、逆流テストで少量の逆流と軽度の弁輪拡大を認めたため、crystal violetに浸したCarpentier Edwards MC3 30mmを用い弁輪形成術の追加が行われた。その結果、三尖弁逆流は消失した。尚、術後は3日目に気管内チューブを抜去し、52日目に抗生剤を中止したが、炎症反応の再上昇と発熱が認められ、抗生剤の投与を再開、108日目に患者は軽快退院となった。目下はNYHA分類class Iに改善し、再発なく経過している。
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