発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106143
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61歳男。頸部腫脹、頻脈を主訴とした。抜歯後、頸部膿瘍に続いて左胸水の貯留を来し、胸水培養で頸部膿瘍の起因菌と同じ細菌が検出されたため、胸腔ドレナージと胸腔内持続洗浄を行ったが、効果は乏しかった。胸部CTにて前縦隔、後縦隔に膿が貯留し、胸水貯留も著しいため、手術を行ったところ、胸腔内と左舌区、左下葉を中心に白色の線維性被膜を認め、縦隔胸膜に明らかな穿孔部位は確認できなかったことから、膿胸における滲出期から線維膿性期へと移行した無瘻性膿胸と診断した。可及的に胸腔内掻爬洗浄を行い、術後は頸部および胸部からのドレナージに加えて24時間の持続的灌流による洗浄と間欠的な胸腔内注入洗浄を施行しところ、炎症反応は軽減し、術後80日目に独歩退院した。本症例は短期間に降下性壊死性縦隔炎が進展して左膿胸を合併したが、適切なドレナージと胸腔内洗により治癒できた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011