発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305794
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症例は68歳男性で、発熱、咽頭痛、右下顎部腫脹が出現し、頸部膿瘍・喉頭浮腫に対し気管・頸部切開が行われ、抗生物質投与、経管栄養管理となっていたが、呼吸困難が出現した。胸部X線で心陰影の拡大と著明な右胸水貯留、右上縦隔陰影拡大を、CTでは右側中心にほぼ胸腔全長にわたり前縦隔から後縦隔に至る膿瘍、著明な心嚢水貯留が認められた。頸部膿瘍の進展による壊死性降下性縦隔炎と診断し、緊急開胸ドレナージ術を施行した。血行動態安定を図るため心嚢ドレナージを先行し、心嚢に十字切開をおき、反転した心膜を縫合固定して開窓し、400mlの淡血性心嚢水が認められた。次いで奇静脈の頭側で後方縦隔胸膜を切開したところ、膿の流出が認められたため横隔膜付近まで切開した。右横隔神経前方の心嚢部でも膿汁の流出を認め、後方での右肺門前方開放でも壊死した縦隔組織が認められた。術後経過良好で第33病日に独歩退院し、1年9ヵ月経過して再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013