発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204294
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49歳女。背部痛、発熱を主訴とした。血液検査で炎症反応を認め、CTで胸膜肥厚と隔壁形成を伴う左胸水貯留、下葉の虚脱、上葉の気管支透亮像を伴う浸潤影を認めた。膿胸を疑いドレーンを挿入したところ、約1000mlの膿性排液と気漏を認めた。ドレナージ後肺瘻を形成した急性膿胸と考え、ドレナージおよび抗生剤投与を行なったところ、主訴症状や炎症反応は改善傾向を認めたが、気漏は徐々に高度となり、膿胸腔の掻爬・洗浄、肺瘻の閉鎖を目的に胸腔鏡下手術を行った。炎症の鎮静化と膿胸腔の縮小、虚脱肺の膨脹は得られたが、同時に行った酸化セルロース膜とフィブリン糊による瘻孔閉鎖はうまくいかず、高度な気漏が遷延した。CTで責任気管支をB3aと判断し、シリコン製気管支充填剤endobronchial Watanabe spigot(EWS)を用いて気管支充填を行ったところ、充填直後より気漏は著しく減少し、7日後には完全消失した。退院後2ヵ月に閉塞性肺炎を来たしたためEWSを抜去し、抜去後速やかに含気は改善し、現在まで再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014