発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106140
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
80歳女。呼吸困難を主訴とした。1週間程続く咳、痰に対して投薬加療を受けていたが、症状は徐々に増悪し、胸部X線、CTにて胸部大動脈瘤と診断された。来院後、急速に呼吸状態が増悪したため緊急気管内挿管を行い、その後のCTにて遠位弓部大動脈瘤(最大径7cm)と腕頭動脈瘤の破裂(仮性動脈瘤)、および二つの瘤の圧排による気管の閉塞を認めた。以前から存在した弓部の真性動脈瘤に加え、無名動脈の仮性動脈瘤が急速に増大して気道の急性閉塞を来したと考えられ、気道狭窄の改善と動脈瘤の再破裂回避のために緊急手術を行った。大体動脈送血下に超低体温、循環停止、逆行性脳灌流法を行い、arch first法による弓部大動脈人工血管置換術を施行したところ、呼吸障害は消失し、気道狭窄は改善した。緊急気管内挿管を要する気道閉塞を訴える弓部動脈瘤はきわめてまれと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011