発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250143
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症例は35歳女性で、19歳時にSLE(ループス腎炎IV型)を発症、以後ステロイド内服により加療していたが、8ヵ月前に他院にて胸部下行大動脈拡大を指摘され紹介来院となった。最大径41×38mm大の胸部下行大動脈瘤を認め経過観察となったが、自己中断により経過観察は途絶しており今回、突然の背部痛を自覚して夜間急病センターを受診、CTにて胸部下行大動脈瘤破裂を疑われ緊急入院となった。精査により胸部下行大動脈瘤破裂と診断され緊急手術となり、術中所見では動脈瘤周囲の血腫付着と瘤壁の石灰化を認め、体外循環確立後に動脈瘤の中枢側と末梢側で大動脈を遮断して瘤を切開したところ5対の肋間動脈が開口していた。内膜の石灰化が著しく再建は困難と判断、最も末梢のTh10の肋間動脈のみbeveling吻合で再建し、Hemashield 16mmを用いて下行大動脈置換術を施行した。手術時間418分・体外循環時間135分・出血量942mlで、術後SLEの増悪や感染の併発、下肢麻痺もなく経過、胸水遷延のため時間を要したが術後第69病日に自宅退院となった。
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