発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034203
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63歳女。検診の胸部X線で右下肺野に異常陰影を指摘された。胸部CTでは縦隔上部から前縦隔にかけて32×23mmの腫瘤と、右肺S8に20mm大の結節を認めた。PETでは縦隔病変にSUVmax 8.9、肺病変にSUVmax 5.3の集積を認めた。縦隔病変の穿刺吸引細胞診では肺腺癌あるいは胸腺腫を疑う所見で、肺病変は2年前のX線像でも存在しており大きな変化はなかったが、両病変とも切除する方針とした。縦隔病変に対し拡大胸腺摘出術を行い、肺病変は胸腔鏡補助下に右肺部分切除を行った。縦隔病変は40×35×32mmで、病理所見では腫瘍内部は上皮細胞が充実性に増生して大小の胞巣を形成し、多角形細胞、紡錘形細胞が増殖しており、リンパ球は極少数で、type Bの胸腺腫と診断した。右肺下葉腫瘍は16×13×13mmで、縦隔の病変と同様の組織所見であった。胸膜の弾性板が腫瘍を覆っており、肺転移と考えられた。術後縦隔の局所に放射線照射を行い、放射線肺臓炎併発のため化学療法は行わなかった。術後1年7ヵ月経過して再発はない。
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