発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015363227
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53歳男。左背部および前胸部痛、発熱を主訴に、前医の胸部CTにて前縦隔の石灰化を伴う腫瘤と左胸水貯留を指摘され、当科紹介となった。来院時造影CTでは、前縦隔に辺縁不整で境界明瞭な、内部に石灰化を伴う39×57mm大の腫瘤を認めた。辺縁と内部の一部に増強効果を認めたが、内部の大部分は低吸収を示し、左胸水貯留、腫瘍周囲の縦隔脂肪織の濃度上昇を認めた。前縦隔腫瘍の感染または破裂を考え、TAZ/PIPC投与を開始したところ、1週間後には解熱とともに炎症反応が改善し、胸部CTでは腫瘍の軽度縮小を認めた。初診2ヵ月後に拡大胸腺切除術を施行し、病理組織学的に内部に出血と壊死を伴う胸腺腫と診断された。術後は創部感染を生じ、抗生物質の投与と術後21日目に創部デブリドマンと再縫合を要したが、その後の経過は良好で術後35日目に自宅退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015