発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007150029
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50歳男。人間ドックの胸部異常陰影指摘で縦隔腫瘍と診断され当科を受診した。胸腺腫または胸腺癌と術前診断し術中の迅速病理診断より悪性細胞はみられず胸腺腫と診断した。心膜への浸潤はなく剥離は容易で、一部左肺浸潤が疑われたため合併切除を施行した。10×6.5×12cm大の髄質様・結節様の黄褐色腫瘍で、病期分類I期、組織分類typeB2胸腺腫と診断し術後3週から縦隔に照射を施行した。術後9ヵ月に左胸膜播種を認め再手術で5個の播種巣を完全除去した。再手術後7ヵ月に2.5cm大の左胸膜播種様巣を認めるも患者希望により経過観察し、1年後1cmに縮小したが6年後に急激に増大し化学療法を施行するも縮小傾向が認められず、胸膜播種巣増大に伴い左片麻痺が出現し、右前頭葉と小脳半球に転移を認め全切除後に全脳照射を施行した。確定診断には至らないが低分化型神経内分泌胸腺腫(小細胞癌)と診断した。脳転移術後、左胸腔内病巣の増大、脳転移再発、胸椎転移で死亡された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007