発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034195
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48歳女。14歳時にモヤモヤ病と診断され、39歳時に症状発現があり通院加療中であった。半年前より労作時の胸痛を自覚し、徐々に頻回となり、心筋シンチグラフィーで前壁中隔領域の虚血を、心臓カテーテル検査で左冠状動脈主幹部に75%の狭窄を認めた。脳血流シンチでは予備能が低く、浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術の既往がなく確実な脳血流が担保されていないことより、心拍動下冠状動脈バイパス術を予定し、より良い血行動態と脳灌流量を維持するため、大動脈バルーンパンピング併用とした。胸骨正中切開でアプローチし、左内胸動脈(LITA)を剥離し、同時に下腿より大伏在静脈を採取した。術中は収縮期血圧100mmHgを下回らないよう維持し、動脈血二酸化炭素分圧は40mmHg前後に保った。LITAを左前下行枝へ、大伏在静脈を回旋枝にそれぞれ吻合し、静脈グラフトの中枢吻合はデバイス(Enclose II)を用いた。術後は脳神経学的異常を認めず、経過順調で術後12日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010